Ladies in Black
オーストラリア映画、”Ladies in Black” を紹介します。昨年秋にオーストラリア国内で公開され好評を博したようです。
舞台は1959年、シドニー。第二次世界大戦の後、大陸ヨーロッパからオーストラリアに移り住んできた人々がいました。
当時のオーストラリア社会がヨーロッパの移民を異質な存在と見ながらも、ワインや食生活、ファッションなど彼らから多大な影響を受け、それが今日のオーストラリア文化を形作った様子が見てとれます。移民は移民でオーストラリア人を「文化、教養がない」「田舎もん」と見ていたことなど、両者の緊張関係とお互いへの好奇心もユーモアたっぷりに描き、映画に軽妙なトーンを添えています。
ただ大陸ヨーロッパの「洗練された文化」への憧れ、対する当時の「粗野なオーストラリア」という構図が繰り返されることには違和感も感じました。
ある外国文化を洗練されたものとして見上げる眼差しは、別の国の文化を未開のものと見下す眼差しと当然地続きなわけで。。当時のオーストラリアが白豪主義真っ只中であった状況を思えば、このような演出はどこか空々しい、奥行きのないものに思えました。
しかし女性の描き方は素晴らしかった。タイトルのLadies in Blackとは、当時の百貨店で黒いドレスの制服を着て働いていた女性たちのことです。大学に進学したい優秀な主人公リサを、職場の女性も母親もみんなが支えて応援します。
「かしこい女の子ほど素晴らしいものってないわ。」ある先輩女性の発するこの温かいセリフが、かつて女の子だった私の心にジーンと響きました。
成長した私は今、「女の子」の叔母であり、友人です。映画の設定の時代から60年経った今の日本の女性の立場はどうか。何かを諦めたり、制限されたり(入試の点数を勝手に引かれてたり!)。そんなことを仕方ないと流したり、現実はこうだからうまく立ち回ったほうがいい、というのは今ある構造に加担するのと本質的に同じです。「女の子たち」のために私が、大人が、出来ることは何なのか、そんなことを考えました。
日本で公開されるか分かりませんが、予告編をつけておきます。1:58頃に、ブルーマウンテンの景色も一瞬出てきます。Ladies in Black 予告編